ツマミひとつで、実家がちょっと誇らしくなる話

実家のすみっこ再生記|vol.1

実家の収納に付いていた、金属製のツマミ。

最初から収納自体は再利用の予定だったのですが、ツマミだけは「新しいものに替えてほしい」とのご要望でした。

最近の建具は、木目を印刷したシート仕上げが主流ですが、
この収納扉は「突板(つきいた)」といって、表面が本物の木でできています。

本物の木なので塗装が可能。再利用できるなら…とお施主さんもご納得。

ただ、ツマミの交換となると、既製品から選ぶしかありません。
似たようなステンレス製のものか、安価な樹脂製のもの。

せっかく良い素材で作られているのに、それはちょっともったいない気がして――。

「どうせ替えるなら、ちょっと試してもいいですか?」
そうお願いして、クエン酸でのクリーニングを試みることにしました。

100円ショップのクエン酸と、紙ボウル。道具はこれだけ。

ステンレスなので、おそらく大丈夫と思いつつ、念のため素材も確認。

水200mlに対して、小さじ1杯のクエン酸を溶かした溶液に浸けます。
30秒ほどで取り出して様子を見て、また浸けて……を何回か。

新品みたいにピカピカ!とはいきませんが、
手垢が落ちて、金属らしい風合いがよみがえってきました。

並べてみると、すっきり。味わいのある風格が出てきました。

もっと金属磨きをかければ光らせることもできますが、
このくすみ具合が、まわりの空間としっくり合うように感じます。

丁寧に塗装された扉と、金属のツマミ。新品では出せない組み合わせ。

実際に取り付けた状態を見たご依頼主も、「新品にしなくてよかったね〜」と笑顔。
私も、ちょっとした達成感と、しみじみとした嬉しさを味わえました。

こういう、直すでも、替えるでもない「整える」作業って、
実家リノベの醍醐味だと思っています。

小さな手入れが、家の印象を少しだけ変えてくれる。
そんな体験のお話でした。

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