遺産分割の席で 「とりあえず共有にしておこうか」—— その一言が、あとからリノベ・売却・融資すべての足かせになるかもしれません。
本ページでは 共有名義で失敗しない相続設計 を、建築士 × 司法書士の実務目線でまとめました。
目次
1. 共有名義が相続実務で起こす 3 つの壁
- 増改築・リノベは「全員一致」が原則 — 過半数で足りるのは軽微な修繕のみ[民法251条・252条]
- ローン審査が通らない — 共有者全員の連帯保証・印鑑証明が求められるケース多数
- 売却・建て替え時も足止め — 疎遠・所在不明の共有者がいると手続きがストップ
2. 遺産分割で“共有回避”を実現する 4 つの方法
- 代償分割 — 不動産を単独相続する人が、他の相続人へ現金で差額調整
- 換価分割 — いったん売却して現金化し、あらためて取得者が買い戻す
- 現物分割 — 兄:実家 / 妹:祖父の家+預貯金 など財産の種類で分ける
- 遺言指定・家族信託 — 生前に名義を一本化しておく
▶︎ 専門家とセットで検討すると手続きがスムーズ
STEP
所有者を洗い出す
登記事項証明書で名義と持分を確認。不在者や未登記増築部分がないかも要チェック。
STEP
家族会議で合意形成
リノベの目的・予算・将来の使い方を話し合い、共有回避の方向性を共有。
STEP
名義を整理する
代償分割・売買・贈与などで単独名義化。司法書士に登記を依頼。
STEP
資金計画・ローン審査
単独名義後にリフォームローンを申請。共有解消で連帯保証人が不要になり手続きが簡略化。
STEP
リノベ着工
着工前に工事請負契約・瑕疵保険を確認し、家族で最終合意。
4. 行方不明・疎遠共有者への最新対処フロー
- 戸籍・住民票・聞き取りで所在調査
- 不在者財産管理人 を家庭裁判所へ申し立て
- 2023 年改正民法の 所在不明共有者制度 を利用(262 条の2 ほか)
5. 相続準備チェックリスト (共有回避版)
▶︎ 国税庁シミュレーション / 三井住友信託シミュレーション
参考文献
※2025年7月現在の法令等に基づき作成。詳細は専門家へご確認ください。