「ペット可の部屋」はあるけれど、
本当に“猫と心地よく暮らせる住まい”は、なかなか見つからない。
そんな声を受けて、今回のリノベでは
猫との暮らしやすさを軸に、間取りを一から見直しました。
キーワードは、
「安心して動けること」と、「人も猫もお互いの時間を大切にできること」。
暮らしの中心に“猫との共存”を据えた、マンションリノベの実例です。


✔ CatRoomから浴室まで、一直線につながる動線
✔ キッチン空間は完全に仕切り、猫の侵入を防止
✔ お互いの気配を感じながら、ストレスなく過ごせる工夫
CatRoomとつながるバスルーム。
ケアのしやすさと、猫の安心感を両立
この住まいの特徴のひとつが、猫専用の「CatRoom」と浴室が直接つながっていること。
「ケアしやすく」「逃げにくく」「ストレスが少ない」。
猫と暮らすうえで大切な要素を、動線から考えました。

お風呂の時間に必要なタオルやシャンプー類も、CatRoom側に準備できます。
濡れた足でリビングを走り回る心配もなく、猫にも人にもやさしい設計です。

CatRoom側の扉を開ければ、猫ちゃん用のお風呂に変わります。
その時々に応じた使い方ができるのも、ウォークスルー仕様にしたシステムバスの良さです。
結果的に、掃除やお手入れも含めて「日々の暮らしがぐっと楽になる」ことを実感できるつながりになりました。
閉じられるキッチン。
猫の安全と、人の使いやすさの両立
このお住まいでは、キッチンを完全に「仕切れる」構造にしています。
目的は、猫の侵入を防ぐため。
飼い主の不在時でも、コンロやシンクまわりに猫が立ち入らないことで、
誤飲やケガ、物の落下といったリスクをぐっと減らせます。

この建具、ふだんは開け放しておける片引き戸仕様。
来客時や調理中には閉じて空間を切り替えることができます。

家事動線の中にも猫の安全性を組み込むことで、
「見守らなくても安心できる」仕組みができあがります。
また、造作のカウンターテーブルも合わせて設計。
調理中の作業台としても、普段の食事や猫のお世話の場としても活躍しています。

猫にとっても、人にとっても。
「自分のスペースを安心して使える」ことは、日々のストレスを減らす大事なポイントです。
透明な仕切りがつくる、ほどよい距離感
CatRoomは、LDKとの境界をガラスで仕切る設計にしました。
完全に閉じてしまわず、お互いの気配を感じながら過ごせることが大きなポイント。

人がくつろぐリビングと、猫が休むスペースを分けつつ、
お互いに「居場所」があるから、無理に干渉しすぎずにいられます。

特に多頭飼いの猫にとっては、
自分の落ち着ける場所を確保できることが大切だと、改めて感じさせられます。
「つながりながら、少し離れていられる」
そんな空間のつくり方が、猫にも人にも心地よさをもたらしてくれます。
“猫仕様”だけじゃない。
住まい全体に宿る、家族の暮らしやすさ
猫との共存を考えたリノベーションですが、
それは同時に、家族にとっても快適な住まいの形を考えることでもありました。
たとえば、洗面・浴室・CatRoomのコンパクトで無理のない動線は、
朝の支度や帰宅後のルーティンもスムーズにしてくれます。
収納も、WICを中心に暮らしの流れに沿った配置に変更。
猫用品も人の荷物も、まとめて収めやすくなりました。
さらに、すべての動線が段差なく、掃除しやすく整えられていることも、
日々のストレスを減らしてくれます。
猫の安心が、人の安心につながる。
そんな設計の積み重ねが、家族全員にとってやさしい暮らしを支えてくれています。
猫と共に暮らすために──設計でできること
今回のリノベーションでは、「猫と人がストレスなく共に暮らせる住まい」を目指しました。
猫が安心して過ごせるCatRoomと、つながるバスルーム。
留守中でも安全に過ごせるよう、閉じられるキッチン。
そして、お互いの気配を感じながら過ごせる、やわらかい仕切り方。
ひとつひとつの工夫は、どれもささやかなものかもしれません。
けれど、それらが重なって、「気を使いすぎなくても、自然と暮らせる家」ができあがっていきます。
家族として暮らす猫たちと、これからも心地よく過ごしていけるように。
その思いが、住まいのかたちになりました。
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