実家再生って、なんでしょう?
「実家再生」という言葉、あまり聞き慣れないかもしれません。
でも、リノベーションでも、リフォームでもない、
ちょっと特別なニュアンスを込めて、私たちはこう呼んでいます。
それは、「ただ古い家を直す」のではなく、
家族の記憶や、土地とのつながりを大切にしながら、
これからの暮らしに合うように整えること。
そんな想いをこめた、家づくりの考え方です。
こんな実家の再生に携わってきました
たとえば──
長年空き家だった祖父母の家を、週末の集いの場に。
親世代と同居するにあたって、暮らしやすく間取りを整える。
家族の誰かが亡くなった後も、思い出を手放さずに活かす。
それぞれの「実家」に、それぞれの背景があって、
その一つひとつと向き合いながら、住まいを再生してきました。
なぜ壊さずに活かすのか
家を壊して建て直すのは、たしかに合理的な方法かもしれません。
でも、そこにしかない景色や思い出、佇まいを、残したいと思う気持ちもあるはずです。
「この家、壊すのはちょっと寂しいね」
そう感じたら、実家再生という選択肢を考えてみてください。
実家再生を選ぶ人が、少しずつ増えています
最近、「実家をリノベーションして住む」という選択をする人が、静かに増えてきています。
国の調査でも、相続や贈与で住宅を取得してリフォームする人の割合が、この5年間で大きく伸びていることがわかっています。
かつては「新築一択」が当たり前だった住宅の取得も、いまは「すでにある家を、暮らしに合わせて整えて住む」時代へと変わりつつあります。
背景にはいろいろな理由があります。親世代の高い持ち家率、暮らし方の多様化、住宅価格の高騰…。実家という存在が、再び身近で現実的な選択肢として見直され始めているのです。
特に、30〜40代の一次取得層では、「親の家を受け継ぎ、自分たちの暮らしに合うように再生して住む」というケースが、これからますます増えていくと予想されています。
それは、家を建てるのとはちょっと違う、家族の物語を受け継ぐような住まい方。
実家再生という選択肢が、これからの時代の“ちょうどいい暮らし”として、少しずつ広がっています。
家族の歩みが、わたしたちの暮らしの土台になる
実家には、目に見える価値と、目には見えにくい価値の両方があります。
住宅ローンを返し終えた家。丁寧に手を入れられてきた庭や室内。
それは、親世代がコツコツ築いてきた「住まいという資産」です。
この積み重ねがあるからこそ、新しい暮らしのスタート地点は、
まっさらな土地から始めるより、ずっと前にあるのかもしれません。
家を一から建てることも素敵ですが、
家族の努力を活かして「次の暮らし」へとつなぐことにも、大きな価値があります。
実家再生は、そんな“目には見えない応援”を受け取る方法でもあるのです。
私たちが大切にしていること
実家再生において、私たちが大切にしているのは以下の3つです:
- 暮らし手にとって“ちょうどいい距離感”で整えること
- 構造や歴史を理解した上で、無理のない改修をすること
- 家だけでなく、家族関係や記憶の整理も含めた時間をつくること
設計士としてだけでなく、実家を持つ一人の人間としても、
共に考え、寄り添う立場でいられたらと思っています。
わたしたちが実家再生に込めている想いを、ひとつの記事にまとめました。
▶ 「家族の努力が、わたしの暮らしを支えてくれる」 もあわせてご覧ください。
実家と向き合いたいときに
実家のことって、ちょっと面倒だったり、遠い存在だったり。
でも、ふと思い出すと、あたたかかったり、落ち着けたりもする。
そんな複雑で、でも大切な場所との付き合い方を、
このブログ「リジッカ」では一緒に考えていきたいと思っています。
▶ はじめての方へ のページもあわせてご覧ください。