STEP 4|プランニング
制約を知るほどアイデアが湧く、実家リノベの楽しみ方
- 「これは無理よね?」と心で解決せず、言葉にすると案外簡単にできることも。
- 動かすとコストへの影響が大きいものがわかります。
- ゾーニングは大きなものから決めていくのがコツです。
プランニングは“対話”からはじまります
はじめての実家リノベでは「どこまで変えられる?」「何を優先すればいい?」が分かりづらく、つい“全部新しくしたい!”と気持ちが先走りがち。
でも既存の家には動かせない部分がある――そこを押さえたうえで、建築士とキャッチボールを重ねると、ぐっと満足度の高いプランに育ちます。ここでは“打ち合わせを楽しむコツ”を中心にご紹介します。
1. まずは “動かしにくいもの” を共有しよう
大きな出費を覚悟すれば、動かせないものは少ない。変更コストに見合う価値があるかが判断基準。
動かしにくいものと、コスト感
動かしにくいもの | 理由 | 影響するコスト感 |
---|---|---|
構造壁・耐力壁・柱 | 建物を支える骨格。撤去や移動には補強工事が必須 | 数十万〜規模次第で百万円超 |
水まわり(キッチン・浴室・洗面・トイレ) | 配管勾配・排気経路が決まっている | 1設備あたり20〜35万円の追加が目安 |
窓・玄関など開口部 | 外壁の補修を伴い、雨水の侵入防止対策も必要 | 1カ所あたり 20〜60万円 + 外壁仕上げ・防水補修分が上乗せ |
建築士のリアルメモ
例えば、トイレの排水勾配がシビアな場合、トイレの床を上げないと適切な勾配が確保できません。
バリアフリーの観点からも、床の段差をわざわざ生み出すことは避けたい気持ちです。
2. ゾーニングは“大きな外枠”から
- 敷地と道路の関係を確認 ── 駐車台数・車種・アプローチ動線
- 玄関の向きと光の取り入れ方
- 共用部(LDK・水まわり)→個室→収納 の順に内側へ
敷地条件→玄関→LDK……と外枠→細部へ絞っていきます。2階建てなら、まず1階から固めていきます。
水まわりは配管の都合があるので、ほぼ固定されます。リビングは日当たりの関係で大まかな位置が決まります。
収納はカタチの融通が効くので大まかな位置さえ決まればいい。初期段階ではこんな感じです。
建築士のリアルメモ
駐車台数が増えたり、状況によっては減築や形状変更の可能性も出てきます。
建物の形状変われば間取りも見直になります。大きなところから確実に固めていくのがコツです。
3. 打ち合わせ前の「3つの宿題」
宿題 | やること | ポイント |
---|---|---|
① 優先順位リスト | 「絶対に叶えたい」「できれば」など★でランク付け | 家族それぞれの★を見える化 |
② 一日のタイムライン | 平日・休日の動きを紙に書く | 動線の詰まりが見つかる |
③ 好きのスクラップ | Pinterest/雑誌の切り抜き | 色・雰囲気が言葉より伝わる |
- “NG例” の写真も集める …嫌いが分かると設計が早い
- 付箋やカラーマーカーを使う …家族会議もゲーム感覚で
4. 打ち合わせを“楽しく・濃く”する姿勢
やりとり例 | なぜ大事? |
---|---|
「この柱って本当に抜けない?」と遠慮なく質問 | 条件と代替案をその場で共有できる |
予算も早めに伝えておく | 優先順位に合わせて工事範囲のバランスを考えます |
暮らしのエピソードを話す(例:朝は犬の散歩が先) | 動線設計や収納計画のヒントになります |
“保留メモ”をつくる | 検討事項の積み残しを防げます |
建築士のリアルメモ
気軽に伝えられたご要望が難しかったり、「難しいですよね?」というご要望が簡単だったりします。
自分の心で解決せず、言葉で伝えることが大切です。
5. まとめ ― “制約”はアイデアのタネ
実家リノベは新築より「できないこと」が目につきがち。でも裏を返せば制約=オリジナリティを生むヒントです。
動かしにくい部分を早めに共有し、家族の“好き”と“暮らし方”を建築士にどんどん投げてください。やりとりの中で “できる+α” が見つかり、コストも満足度もバランス良く落ち着きます。
💬 質問・相談はお気軽にコメントでどうぞ!
「うちの場合はどう?」と聞いていただければ、次回の記事で深掘りします。