STEP 0|準備前チェック
大切なのは“住む場所”より“どう生きたいか”を先に決めること
- 家づくり前に整理すべき「価値観」と「資金」
- 老後まで視野に入れた安全性チェック
- 実家活用を含む”場所選び”の判断軸
「どこに住む」「どんな家が好き」、新築?中古?実家を活かすのもいいね!
無限の可能性に気持ちも高揚します。そういうときだからこそ、自分を見失わない準備が必要です。
ささいなことに気持ちを奪われて、だんだん自分が何をしたかったのか、わからなくなる人がたくさんいます。
家族を巻き込むこの、大きな取り組みの成功は、この準備にかかっているといっても過言ではありません。
いきなり大海原に飛び込むのではなく、目的を確認し、進むべき方向をぼんやりとでも決めましょう。
気持ちが揺れ動くできごとは必ず起きるものです。正しい判断のために、この準備がきっと役立ちます。
1.価値観と家族の変化を整理する
「家族の変化を想定しておけば”間取りの後悔”は8割防げる。」

住まいは、ずっと家族の生活の場です。子育て、独立、夫婦だけ、介護の場面も訪れるかもしれません。
家族との暮らしをイメージしておくと、いざというときの判断に役立ちます。
自分が心地よさを感じるのはどんなとき?家族が好きなことは?わかっていても言葉にするのが大事です。
家族の変化を事前に考えておく
暮らしには必ず、変化が訪れます。子どもが生まれる、進学する、巣立っていく。
あるいは親との距離が変わることもあります。介護や看取りの時期を迎えるかもしれません。
自分自身に段差のない家が必要になる日もやってきます。
こうした家族の変化は、あらかじめ見通しておけることも少なくありません。
「うちの場合はどう?」「この家はそれに耐えられるか?」
今のうちに考えて準備しておくことで、将来の困りごとを防げるかもしれません。
具体的には──
- 将来子どもが独立したあとの部屋の使い方をどうするか
- 自宅で介護が必要になる場合に備えた部屋が必要か
- 親世帯との距離感をどの程度に保つか、敷地や建物にゆとりは必要か
などなど
先回りして話し合っておくことは、いざというときの判断に役立ちます。
できるだけ具体的に考える。いろんな場面を想像しておく。
その蓄積が、柔軟で強い住まいをつくる礎になります。
心地よさは、どこからくるのか考える
住まいの機能も考えましょう。
たとえば──
- 冬でも暖かく、光熱費を抑えられる家にしたい
- 掃除や片付けがラクな間取りで、余計なストレスを減らしたい
- 老後を見据えて、将来も安心して住み続けられる家がいい
暮らしやすさや快適さと、医療費や生活コストの削減は両立可能です。
「きちんと考えてつくる家」は、家計にも身体にも優しい。
もうひとつ感覚的なこと──
あの部屋が落ち着く、
いつものお店の照明の雰囲気が好き、
この木の手ざわりが心地いい
数字やスペックではあらわせない、家族にとっての“心地よさ”とは何か。
この機会に話し合ってみてはいかがでしょう。
2.老いと住まいの安全性
将来の自分の介護を、いま考えておくのが正解。

住まいの計画を立てるとき、つい見落とされがちなのが「老いていく自分の姿」です。
でも実は、それを思い描いておくことこそが、これからの安心と自由をつくる大事な視点になります。
自分の老いもイメージする
50代、60代、70代──年を重ねるほど、住まいが身体に与える影響は大きくなります。
わずかな段差につまずく、階段の昇り降りがつらい、という日が来るかもしれません。
視力や聴力の衰えから事故につながることもあります。
スイッチの位置ひとつで、暮らしやすさは大きく変わります。
さらに、「家事」も変わります。
食器の片づけや洗濯が面倒になる、掃除機を持って2階へ行く、荷物を運ぶのがつらくなる。
老いを意識した住まいは、決して“病気や弱さを前提にした設計”ではありません。
むしろ、将来の自分の可能性を守るための、前向きな準備です。
今の生活にも快適さをもたらしてくれます。
3.場所選びの基本
諸条件をつきつめれば、どこが有利かは自然とわかる。

「どこに」「どんなふうに」暮らすかを考える
「場所」「建物」「予算」はそれぞれが連動しています。
駅に近い便利な場所なら、広さや価格に妥協が必要かもしれない。
理想の間取りを優先するなら、郊外や実家活用という選択が現実的。
また、「ずっと住むか」「住み替える前提か」といった視点も重要です。
子どもの成長、親の介護、自分たちの老後──暮らしの前提は年月とともに変わっていきます。
先のことを完璧には予測できなくても、イメージしたうえで、
「自分たちの判断基準」を持っておくと、選ぶべき道筋が自然と見えてきます。
暮らしの場所を決める
住む場所探しのコツは、生活の“実感”に即した視点を持つことです:
- 通勤・通学、買い物や病院などの利便性
- 地盤や災害リスク、治安などの安全性
- 自然との距離感や、文化的環境といったライフスタイルとの相性
- 育児や親のサポートなど、家族関係との近さ
「実家を活かす」という視点も、選択肢のひとつ検討してみてください。
実家をリノベーションする、建て替えて二世帯にする、土地だけ活用する──
いずれも予算面で有利なことが多く、家族の支え合いという面でも安心感があります。
実家活用が、すべての人にとって正解ではありません。
それでも「すでにあるものを見直す」という姿勢は、住まいづくりのあらゆる面で生きてきます。
何を大切にして暮らしたいのか。
どんなふうに年を重ねていきたいのか。
家族と、どんな時間を過ごしたいのか。
それらを丁寧に言葉にしてみましょう。少しずつ形になっていくはずです。
選択肢を広く持ち、自分たちの歩幅に合った計画を立てましょう。
4.資金計画の基本
本当に考えておくべきなのは、住み始めてからのこと。

お金の優先順位も考えておく
住まいの断熱性能は、冷暖房費に影響するし、医療費増加の要因になる可能性も。
「暮らしやすい住まい」は、“見えない節約”になるかもしれません。
「メンテナンスのしやすさ」も長期的に家計を守ります。
家族の将来や、収入の変化も視野に入れましょう。
ライフステージによって“出入りのバランス”もは変わります。
“どうすれば無理なく続けられるか”を軸に、暮らしと家計の両方を整えます。
その視点をもつだけで、住まいづくりはずっと落ち着いたものになります。
未来の安心を支えるのは、「暮らしを支えるお金の計画」です。
だからこそ、見えないコストまで含めて、じっくり考えましょう。
資金計画のはじめ方
予算組みは「自己資金の確認」からはじめます。
予定資金でまかなえない金額がわかれば、住宅ローンの検討です。
住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら無理なく返せるか」を基準に考えます。
いまは、調べて準備する段階です。計画が具体化した時になって慌てないですむように話し合っておきましょう。現在返済中のローンはないか、あればその資料を確認し整えておきます。
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